ここで地球の扶養力についてさらに論ずる余裕はないが、一つのことがいえると思う。それは、今の段階でまだ地球の扶養力について決定的なことはとてもいえないのではないかということである。そこで二つの要因が考えられる。第1は科学技術の進歩が22世紀頃までどのくらい進歩するか分からないということである。ローマクラブの有名な『成長の限界』(1972)は、人類は食糧不足の危機以前に地球環境破壊によって滅亡するという警告を発した。しかしそこでは、科学技術は工業生産・農業生産と連結して地球公害を増幅するだけの悪い科学技術として主に考えられている。アーリック(Paul R. Ehrlich)の有名なI=PAT、つまり環境破壊に対するインパクトは、P(人口)、A(消費)、T(技術)の相乗積として想定されているが、ここでも技術は悪いテクノロジーだけとして捉えられている。